Friday, November 23, 2007

はてしない物語

子ども心に帰って読めた長編の物語。ベッドに入って読むこと数ヶ月。毎晩とはいかなかったけれども、しばし想像の世界に親しみ、そういった世界観を持ち続けることの大切さを改めて気づかせてもらった。

この本と古本屋で出合ったのには、縁を感じさせられる。この本の内容の展開自体がそうだから。

これからもこういった本をどんどん読んで、心を深めていきたい。

はてしない物語
はてしない物語
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ミヒャエル・エンデ 上田 真而子 佐藤 真理子 Michael Ende
岩波書店 (1982/06)
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Thursday, March 09, 2006

Rain Maker/レインメーカー

ブラッド・ピット演ずる新米弁護士が、権力や金にまみれた古参の弁護士たちに対して奮闘するのだが、法律に興味ある人に限らず、利潤追求型社会のありかたや法治国家のありかたになんらかの疑問や興味を抱いたことのある人なら、見ごたえのある映画と思うだろう。

法律に固執する余り民主主義に対して盲目的になってしまうという話はよく聞く。我が国では、憲法論議がよい例だろう。訴訟社会として弁護士のメッカであるアメリカでは、O.J.シンプソンの殺人容疑でも話題になったのだが、優秀な弁護士を雇えば、明瞭な悪事を無罪に導くことだって可能だ。

カネは、権力と良心の間を流れ、いかに使われるかによって善悪に加担する。この映画のように、保険金詐欺や保険金未払い事件を例として、保険会社がよく槍玉に挙げられるが、それに限らずも資本主義社会に住めば、他人事ではないだろう。

この映画で私が納得できないのは、新米青年弁護士が殺人を犯してまでして正義に立ち向かい、殺人したこと自体は軽く扱われていることだ。確かに正当防衛だったのだが、人を殺したことに対して罪悪感が微塵たりとも見出せないことは私には信じられない。

ところで、最近は公立図書館でビデオを借りることが多い。図書館が新規に購入したらしい外国映画のDVDもいくつか借りてみたが、駄作が多かった。それも、ドラッグを鼓舞するようなストーリーや生々しい殺人シーンを連写したものなど、青少年にこんなのを貸し出させて良いのかと思わせるようなものが多い。しかも図書館に備えてある価格表をみると、一般市からすればビックリするような価格で購入したことが分かる。外国との輸出入格差を埋めるために買っているのかもしれないし、予算を消化するためかもしれないが、ともかく税金が正しく使われているのか疑いたくなる。

そういったわけで結局、新規DVDよりも古いビデオを借りることが増えるわけだが、今回は久々に見ごたえのあるビデオを借りた気がする。ただ、当然DVDも市販されているわけなので、買うならやっぱりDVDかな。

レインメーカー
レインメーカー
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ジェネオン エンタテインメント (2004/11/25)
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Thursday, February 09, 2006

SLEEPLESS in Seattle/めぐり逢えたら

「運命」をキーワードにした恋愛モノなら他にもいくらでもある。現実の生活に漫然とした不満を抱き、理想や夢の世界にあこがれる、というのもよくある話だ。それでも、この映画は好ましく、ほほえましい。

何がこの映画を魅力的に仕上げているのだろうか。

まず、BGMがいい。決して新しくないが、恋愛に心を悩ます心情を映し出すような歌や曲。多忙な日常に押し込まれて忘れがちな、ほのぼのさを醸し出す効果がある。

次に、話の展開やリズム。二人が手をつなぐのは最後の一分であって、それまでは、現実世界と理想、そして広いアメリカという土地で離れ離れになった肉体をラジオが結びつけるのみ。私たち聴衆は、ハラハラさせられたり、自分の過去を思い出してみたり。

三つ目は、やはり俳優の存在が大きい。トム・ハンクス演じる垢抜けない一途な男と、メグ・ライアン演じる小悪魔的だが純真さが見え隠れする女性。そして、そこら辺にいそうでいて格別の味を出す、他の俳優たち。俳優一人ひとりが発する言葉にも注目したい。

また、この映画に欠かせないのが、アメリカン・ジョークの存在。ああ、こういったピンチはこうやって切り抜けるのかといった、一ひねりしたジョークがうまく使われている。

何にもまして映画のなかで一貫としているのが(と私が思うのが) 親子の絆だ。子どもをいかにして育てていくか、思いを巡らしながら観た人も多いのではないだろうか。

めぐり逢えたら コレクターズ・エディション
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント (2005/09/28)
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Saturday, February 04, 2006

ALI / アリ

暴力装置としての国家に対して動じることなく、自分の信念に忠実に生きる。黒人としての誇り、美しさと強さを体現した男。それが英雄モハメッド・アリだ。とまあ、ここで褒めすぎても仕方ないけど、その時代の人々が求めていたことを具現化したのがALIだったのだと思う。

私が知っているアリは、まずは、アントニオ猪木とマットで対決したアリだ。猪木がアリのパンチを警戒して、すぐさま寝技で勝負に出てしまい、ボクサーとしてのアリの強さをテレビで見ぬまま引き分けになってしまったと記憶する。なお、「ボンバイエ」という言葉は、最近でこそ猪木の名を冠していたが、元々はアフリカでアリに対して「ALI BOMBAYE」と使われていたようだ。大晦日の猪木ボンバイエのときはボンバイエの由来がブラジルだと聞いていたのだが・・・。

私がアリを直接見たのは、2000年の大晦日、ニューヨークのマジソン・スクエア前だった。アリは高台の椅子に座って聴衆に応えていた。蜂のように刺すといった敏捷性は当然無く、むしろ敏捷性を脱ぎ捨てた落ち武者のようではあったが、国民のヒーローとしてのアリは健在だった。

さて、映画でアリを演じるウィル・スミスは、一見明らかにウィル・スミスなのだが、アリを演じきる彼は大したもので、私たちにウィルの存在を忘れさせ、アリとして見させてしまう。ボクサーとしてのウィルもさすがだ。

ところで映画の中のアリは、自分に対して正直ではあるが、女性問題が絡むと少々不正直だった。浮気相手のことについて「あの女のことを愛しているのか」と奥さんから尋問され、「I don't know」と答えてしまう。さすがのアリも正直になりきれていないようだ。

アリ
アリ
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松竹 (2004/11/25)
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Friday, January 20, 2006

Being There / チャンス

ニタニタ笑いながら観てしまった。大笑いではなくて、じわりとくる笑い。ピーター・セラーズが醸す独特のリズム。奇想天外だがありえそうな展開。ちょいと皮肉る感じがいい。この手のコメディーが好きだ。

自然と対峙する庭師。塀の外のことは何も知らないで生きてきたが、彼は実に「貴族的」な生活をしていたといえる。世間に翻弄されることなく隠遁生活的に庭木をたしなんでいたのだから。その単純でマイペースな庭師に対して周りが勝手に偉大な人物と思い込み、国の政治やメディアが翻弄されていくさまは愉快だ。大金持ちや女心までををも動かしてしまうのはご愛嬌か。

ところで、ガーデナーと自称するこの男が、物理的に外の世界から遮断されて生きてきたことは、外の世界を知らずに生活してきて可愛そうなのか、それともピュアな生活をしてきて幸せなのか。物心つく頃からそういう生活をしてきたので、強いられてきたという自覚はないようだ。テレビが外の世界の情報を伝えてくれてはいる。自分の部屋もあり、食うものに困っていた様子はない。むしろ、家(ホーム)という社会の中で優雅な生活をたしなんでいる。住めば都のようだ。

1979年の作品らしいが、金持ちの老人が手でタイプすることなしにマイクを通してパソコンに言葉を打ち込んでいたようだ。今でこそ精度の高いディクテイション・ソフトウェアは珍しくもないだろうが、私が始めてその手のソフトを手にした10年前(1996年ごろ)はまだ、ストレス度が高かったと思うのだが。

チャンス
チャンス
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ワーナー・ホーム・ビデオ (2005/11/25)

Saturday, January 14, 2006

Amistad / アミスタッド

異文化にどう向き合うか。法治国家はどうあるべきか。わたしたちの今をどう反省すればよいか。奴隷貿易という負の歴史的遺産を通してこの映画は、冒頭の三つの問いかけを私たちに投げかけ、かつ示唆を与えてくれる。

異文化を知るには彼らの言葉を知るのが必要不可欠だ。文化人類学者もそうしている。異文化との出会いはまず、地図なしで異郷を歩くようなものであり、その文化の言語を習得しつつクモの糸を手繰るように文化を読み解いていかねばならない。そうせねば、偏見が偏見を呼び誤解がさらなる誤解を招くからだ。この映画のように強制的に対面させられた二つの文化集団の関係は、始めは例外なくちんぷんかんぷんだった。だが、その文化の言語と背景を知る通訳者、つまり文化の翻訳者を得ることで初めて方向性を持ちえた。

私たちが正義的かつ人道主義的に秩序を保っていくためには、司法が公正で独立していなければならない。裁判が不服であれば上訴するのが民主的法治国家の慣わしだ。が、私たちはしばしば、権力者の側近が司法に立ち、結局のところその権力者の都合好いように裁きを下す様を見てきている。まさに政治のための法、法のための法になってしまっている。そのことを踏まえてこの映画は言う。法廷で勝つには「良い物語を語ること」に尽きると。良い物語とは、彼らがどこから来たのかという一元的な情報ではなく、どんな人間かという根源的躍動的かつ包括的に語らしめられるものだ。

私たちが今こうして存在することが、あたかも自分たちだけでなしえたかのように勘違いしている輩が多い。私たちはもちろん社会的な生き物だ。生活に窮しないとなかなか、社会的関係の有難みや安心感に気づかず感謝もしない。私たちの生はまた、祖先の祖先のまたその祖先の祖先の…はるかから受け継がれてきた人間の営みの結晶だ。映画ではこう言う。「私には味方がいます。祖先のことです。過去に呼びかけます・・・そして祖先に助けを求めます。彼らの力をもらいます。彼らは来ます。今の私のために彼らは存在したのです。」簡潔に語ることは美しきかな。

居間のテレビに横に貼ってある、地元の仏教会の言葉が目に入ってきた。「生かされている みほとけに守られて」と。

アミスタッド
アミスタッド
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ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン (2005/01/01)
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Monday, January 09, 2006

Promises / プロミス

イスラエル軍の攻撃。パレスチナ人自爆テロ。ヨルダン川西側地区におけるユダヤvs.アラブの報復合戦は、今なお毎日のようにニュースになっている。このドキュメンタリー映画は、イスラエルとパレスチナ双方の子どもたちをターゲットにインタビューを重ね、彼らの言葉を通して現地の気持ちを伝えてくれる。

私は以前、アメリカのユダヤ人集住地区にアパートを借りていた。シナゴーグ(礼拝堂)やユダヤ人コミュニティ・センターは街路の中心に位置し、スーパーマーケットには、ユダヤ人やユダヤ教に関連した生活用品や食料品が並べられていた。映画では子どもたちから怖いと言われていた、オーソドックス派の人も日常的に目にした。また、東欧からの移民で英語もままならない人も少なからずいた。

大学には当然、たくさんのユダヤ人教授や学生がいた。多民族国家アメリカの一員である彼らの多くは、時にはそれとなくまたあるときには誇張して、ユダヤ人としての民族性を主張しているようにも見えた。白黒はっきりする人が多いと言われているが、確かにそういう人もいた。が、その中にはナイーブさが見え隠れしていた。

一方で私は、ヨルダンからの友達も持った。彼らの中には、元パレスチナ難民もいた。ヨルダン人の友達がある日、パレスチナ紛争のことを話題に出して言った。「考えても見てよ、目の前で自分の家族が強姦されて殺されてるんだよ。君がもし同じ目に遭っっていたらどうするよ。簡単に気持ちが収まるか?」具体性を持った問いかけに、返す言葉を失ったのを覚えている。フランス人と結婚していたその友人は、いったんは私と同じ地区のアパートを借りたが、ユダヤ人が多くいる中では居心地が悪くなり、他へ引っ越してしまった。

さて、この映画でも、友達や親類が殺されることで根深く残る、敵への憎しみが口をついて出てきた。それも子どもの口からだ。言い伝えられ、また自身が見聞きしてきた敵との物理的距離は実際近い。遠く引き裂かれていた心の距離は、イスラエルに親類を持つアメリカ人監督らが互いを引き合わせると、さすがは子どもで遊びのうちに急速に縮まった。

必要なのはイスラエル軍の撤退、と監督は言う。国家としてのイスラエルとイスラエル国民を一緒くたにするのは無理がある。ユダヤ人とて色々な人がいる。相互の人的交流と丁寧な対話を続ければやがて平和はやってくる。製作者のそうしたメッセージは届いていないのか、それから数年が経ち、紛争が悪化の一途を辿っている。子どもたち双方の交流はもはや社会的に叶わなくなってしまった。今では、当時のような映画をつくることさえ難しいそうだ。

本編ではないが、このような映画の意義として印象的なのは、アラブ側で映画の上演が禁止されたことに対する監督の言葉だ。「禁止されれば海賊版が家庭に出回る。だから、字幕をつけて高画質海賊版ビデオテープを流通させる。」私のなかの「海賊版」の意味が改められた思いがした。

プロミス
プロミス
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Wednesday, December 28, 2005

Welcome to Salajevo/ウェルカム・トゥ・サラエボ

戦争。ジャーナリズムが決死の覚悟でその凄惨な現場を伝えようとする。この映画には「本物」の戦争現場が編みこまれていて生々しさがいっそう漂う。被弾で脚を砕かれた人。横たわって動けなくなった人々の周りにどす黒く光る血。崩れ落ちたビル。骸骨のような戦士・・・。日本でも数十年前まで起きていた光景には違いない。

私がアメリカに留学していたとき、この紛争は大々的に報じられていた。サラエボといえば、第一次世界大戦の導火線となった場所だ。ヨーロッパで最もイスラム的な都市ともいわれる。ヨーロッパの一角で起きた内戦は、地理的に比較的近い出来事であるために欧米諸国の関心もいっそう高かったという。その関心度は今でもしばしば、アフリカ内で起きている民族紛争と比較される。

それにしても、焼ける図書館の痛ましさよ。積み上げた知識が炎となり灰と化す。機関銃や砲弾の音が日常化した場所では、学力や知的好奇心や将来の夢など隅に追いやられるばかりだ。心は荒み、不安と隣りあわせで、もはやタバコをふかさずにはいられないといった状態ではなかろうか。ましてや子どもたちへの影響は計り知れない・・・。
ウェルカム・トゥ・サラエボ
ジェネオン エンタテインメント (1999/03/05)
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Monday, December 26, 2005

Finding Forester/小説家を見つけたら

ブロンクス育ちのの少年Jamalが、隠匿生活する有名小説家William Foresterと出会い、才能を開花していく。筋書きはチト野暮ったい友情モノ。しかし、若者がお年寄りから物事を学び、互いに語り合える場を持つこと自体が羨ましかった。

以前の私にもそんな環境があった。80過ぎの先生からギターを習い始めた。ギターを習うこともさることながら、レッスンでの会話が楽しみだった。その先生が急逝し、ギターを続ける意欲も失せてから久しい。最近また、ギターを始めようかと考え始めているのだが・・・。

さてさて、映画では物書きのコツが教授されている。"the words you write for ourselves are always so much better than the words you write for others" (自分のために書く文章は、人に見せるための文章に優る)であるとか、"you wirte your first draft with your heart; you rewrite with your head" (最初の草稿は心で書き、校正のとき頭を使って考える)など。なるほど、そういわれてみればそうだよなあ。"Punch it"(強くタイプしろ)ていうのもいい感じ。

William Foresterが実在の人物かどうか、私は知らない。英語圏の若者たちも知りたがっているようだ(Writer's Window)。知っている人、教えてください。

それにしても、小説家がいつも飲んでいるものだから(スコッチ・ウィスキーを?)、私もついついつられて飲んでしまった。最近特に、ウィスキーやブランデーがおいしく感じる。

小説家を見つけたら
小説家を見つけたら
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ソニー・ピクチャーズエンタテインメント (2004/09/08)
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Thursday, December 15, 2005

マレーナ

イタリア映画の味が好きだ。景色や演じる俳優がヒューマニズムを暖かく醸し出すから。大人になる前の少年の思い出といえば、定番は甘酸っぱい恋心。少年レナは、年上のマレーナに片思い。マレーナの美しさは、共同体ではゴシップの対象で、あることないことが噂されてしまう。そんなマレーナを少年レナだけは純粋な恋心で追う。その追い方は、今だったら・・・な行動として、つまり、性癖の悪い輩の一面としてネガティブで根暗に解釈されるだろう。だが、このイタリア映画を見る限り、危険なムードは微塵もない。時代のせいか。それとも国民性の違いか。淡い少年の恋心と海風というオブラートで包まれている。ゴシップにしたって、俺だったらとてもじゃないけど干渉されない場所に引っ越すけどなあ、なんて思ってしまうのだが、マレーナは娼婦になり下がっても、そして邪険に扱われても、結局はシチリアで生きるのだ。シチリアとはそういう所なのかも知れない。それにゴシップは、人間的なコミュニケーションが息づいている証拠ともいえる。挨拶も当たり前のように交わされるし、一人ひとりに顔があると言う意味においても。その対称として無慈悲な戦争が描かれているようだ。それにしても、戦後の開放ムードでアメリカ軍を歓迎する市民の姿には、日本の映画で観る戦後の、物悲しさはない。

マレーナ
マレーナ
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日活 (2001/12/21)
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Monday, December 12, 2005

ROOTS/ ルーツ

差別と抑圧に対する、アフリカ系アメリカ黒人としてのルーツと誇り。物語りの展開が躍動的だ。ビデオ全6巻の大作だが、一気に観ることができた(観たのはVHS)。

中核は、ドラムの音がしてクンタ・キンテが同郷の男と出くわすシーンだと思う。男はクンタに次のように言った。「昔のことを忘れるな。覚えていて子どもたちに伝えるのだ。ここで生まれた黒人は根無し草だ。アフリカ人でもなく、まして白人でもない。まるで、故郷を持たぬ新しい部族のようだ。」「故郷を知らないから、自分すら分からないんだ。」昔のことを忘れず、自分を知り、子供たちに伝えること。自分が自身のボスとしてそれが出来てこそ、本当の自由なのだろう。

自由が空気のように当たり前のときは、自由に気づくことは難しい。奴隷の身となってクンタが想い描く、アフリカの大空のような自由は、青く澄みきっていたに違いない。

私は実は、Alex Haleyの原作本「ROOTS: The Saga of an American Family」を持っている。いつかは原作を読もうと思っていたが、まだ手付かずだ。ハードカバーのその古本には、最初に買ったであろう人の署名と日付が記されている。Isabella C. Bennett, March 19th, 1977。まだご健在だろうか。あなたの本は今、日本の私の手元にあります。

ルーツ コレクターズBOX
ワーナー・ホーム・ビデオ (2005/04/08)
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Sunday, November 20, 2005

パッチ・アダムス/ PATCH ADAMS

笑いが良薬であることを発見した男(パッチ・アダムス)の物語・・・実話がもとになっているそうな。

笑いが鎮痛作用蛋白の分泌を促進、血液中の酵素を増し、心臓を活性化、血圧を下げ、循環器疾患に良い効果を与え、免疫性を向上させる・・・と今でこそ科学的に言われるのだけれど、パッチのころ(70年代)にこんなことを主張するのは勇気が必要だったようだ。

患者と医者の硬直した関係に疑問を持ったパッチは、患者の目線で応対する医者をめざすべく突き進む。人間的な、心の通じ合う関係と言うのは、当たり前のようでいて難しい。大衆主義社会が浸透していく中で忘れつつあるが忘れてはいけないもの、それをパッチは取り返そうとしているかのようだ。

事故で子どもを失くしかけている婦人に対して病院が、書類の記入優先していた。パッチは唖然とする。また、市民らから、医療に対する不満や愚痴を聞く。急性盲腸炎の時に保険証を取りに返されたこと、薬代が月100ドルかかっていること、足首をくじいただけで無駄な検査をされた挙句に250ドル請求されたこと・・・。そして、そのときパッチは、free hospital(無料の病院)という構想を得たのだった。

この映画を観て、いくつかの本を思い出した。ひとつは、D・カーネギーの「道は開ける」で、悩みから生じる病気の対処法について。パッチもこのベストセラーを読んだことがあるに違いない。パッチ自身、悩んで自殺しかけ、精神病院に任意入院をしたことがある。そのとき他の患者から教わったのは、彼らを助ければ悩みを忘れられる、ということだった。二つ目は、マービン・ハリスの「Why Nothing Works」で、愚かしいほど硬直した社会構造の様子。三つ目は、旧約聖書のExodus(出エジプト記)で、神が民に対して医者を尊敬するように諭すくだり(具体的に何が書いてあったかを探そうとしたが、その行がみつからないが・・・)。

ちなみに、本物のパッチは今も健在だ。パッチが求める5つの質的条件とは、happy (幸福)、funny(楽しさ)、loving(愛)、cooperative(協力)、そしてcreative(創造性)だそうだ。パッチ演じるロビン・ウィリアムスが、医者の使命として次のように映画の中で言っている。

「人は皆死ぬ。医者の務めは健康を高めることだ。死を遅らすのではなく質の高い生を与えること。」

パッチ・アダムス
パッチ・アダムス
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Friday, October 28, 2005

Beyonce Live at Wembley

今のミュージックアーティストのなかでは、ビヨンセが最高!同時代に彼女のようなアーティストが活躍してくれてるのは光栄だ。

アーティストとしてのビヨンセも、素顔のビヨンセも、惜しみなくその魅力を伝えてくれるのがこのDVD。このDVD観れば、好きにならずにゃいられねえ。何しろ格好イイ。人間性にも惹かれる。

初めてデスチャのミュージック・ビデオをみたとき、なんて格好良いんだろうと思い、すぐにCDを買った覚えがある。が、ソロのビヨンセもかなりいい。勇気もらってパワフル全開だ!

Live at Wembley (2pc) (Bonc Jewl)
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Wednesday, October 26, 2005

あの子を探して/Not One Less

日本の子どもたちは、学校で学べることの有り難味を感じることなど無いだろう。誰もが一律に教育を受けることができるようになった今、有り難味を見失っただけでなく、不登校は増加の一途をたどっている。そんな日本の学校教育を憂う人に、この映画は新鮮に映るかもしれない。

場の設定は中国の片田舎。都会に富が集中する中、田舎の人々はあたかも見放されたかのように貧窮にあえいで暮らしている。そんな辺境の村の小学校に、地元の13歳の少女が臨時代用教員として就任することになった。教える知識なぞたかが知れている。ましてや、ど素人。

ある日、生徒の一人が、家の借金を返すために町へ働き口を探しに出てしまった。少女は、町へ生徒を探しに行きたいのだが、お金が無い。そこで、クラス皆で力を合わせてお金を工面しようとする。生徒を探し出して学校に連れ戻すためには、どうしたらよいか。少女は残りの生徒に考えさせる。まさに、解決型学習だ。

一人の生徒を探そうとする気持ちは、純粋だ。生徒を探す過程で、先生としての少女も成長していく。都会の厳しい現実のなかでは、少女の知恵は到底及ばないが、愛情からくる朴とつなパワーが、結果として近代文明を引き込んでいく。

あの子を探して
あの子を探して
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Monday, October 10, 2005

アドルフの画集

ヒトラーといえば悪者の代名詞。ユダヤ人が活躍するメディアの世界が、私たちにその悪印象を痛烈に刻み付けてきた。しかし、もしヒトラーが画家として成功していたら、その後の世界はどうなっていたのか、と考えたことはあるだろうか。この映画は、芸術と狂気の境を歩む人間としてのヒトラー像を再構築し、考えさせてくれる。

ヒトラーの世界観や人生を語る上で、次の言葉が映画に出てくる。

ART + Politics = Power
聴衆はキャンバス、頭脳は絵筆


「紙一重」とは、まさにこのことだろう。なお、DVDの特典映像が、上手にしかも端的に映画のことを解説しているので、参照してほしい。

アドルフの画集
アドルフの画集
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アミューズソフトエンタテインメント (2004/08/27)
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Wednesday, October 05, 2005

ピーター・セラーズの愛し方~ライフ・イズ・コメディ!/ The Life & Death of Peter Sellers

タイトルが示すとおり、ピーター・セラーズの伝記もの。私は実は、ピーター・セラーズのことは余り知らない。でも、この映画のおかげで、彼に注目するようになった。彼の名前で検索すれば、お、お、お、出てくる、出てくる。「ピンク・パンサー」「博士の異常な愛情」etc.

自由奔放というか、無責任というか、それとも、凶器じみているというべきか。奇抜で自意識過剰で、神経質で多才の、幼稚で女たらしで、正直者の天才的なコメディアン。フーっ!彼の生き方の派手さやスケールは並じゃなさそうだ。

ピーター・セラーズの愛し方 ~ライフ・イズ・コメディ !
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Tuesday, September 20, 2005

Sideways/ サイドウェイ

平凡なラブ・ストーリーかもしれないが、ワイン好きな人が、話の肴にしそうな映画だ。カリフォルニア・ワインを通じて交わされる、英語の表現にも注目したい。

サイドウェイ 特別編
サイドウェイ 特別編
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Friday, September 16, 2005

RAY

ブルース歌っていた大学時代のクラスメートが当時、「レイ・チャールズはちょっと、渋すぎて・・・」と言っていた。20代だった彼は今、レイ・チャールズと向き合えるようになっているだろうか。

さて、この映画は、レイ・チャールズに興味があろうとなかろうと、必見の映画だ。一人の天才を通じて「見る」アメリカの歴史に触れることができるだろう。

盲目なレイの生い立ちから成功まで、黒人音楽や宗教、金、ドラッグ、セックスを絡めて脚色しながら、彼の人生と歴史的意義をあぶりだす。

レイ扮するジェイミー・フォックスが、また良い味出してる。コメディアン・タッチのジェイミーも好きだが、真面目にレイを演じるジェイミーもなかなかのもの。

それにしても、死後1年足らずでバイオグラフィ的な映画が作られるとは、それだけレイの死が惜しまれているという表れだろう。

Ray / レイ
Ray / レイ
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Friday, September 09, 2005

es

大学の心理学実験に応募した被験者が、囚人と警護役に分けられる。覇権争いと反抗、権者と従者の関係などが展開されるなか、警護役の暴挙がエスカレートしていく。やがて、実験と現実の見境がなくなり、大惨事になってしまう。

常軌を逸脱した環境下で、いかに本来の自己を保てるのか。戦争映画ではしばしば取り上げられるテーマだ。だが、そんな状態が、平和な日常と隔離されるほんの数日で、それも大学のような高等教育の場で生じてしまうものだろうか。些細な出来事から大きな憎しみへと発展することは、私たちの日常生活でも耳にする話だけれども。

テンポが良いので飽きが来ず、また、観やすい。同様の心理学実験が禁止されているという事実(?)も、この映画をより魅力的にしている。

es[エス]
es[エス]
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Monday, August 29, 2005

少女ヘジャル

元判事のトルコ人老人が、民族紛争のさなか、クルド人孤児ヘジャルを世話し始め、次第に他民族に心を開いていく様子を描く。

あ~あ頑固親父め、なんでそんなに冷たく少女をあしらうのか・・・、なんて思える箇所もなくはないが、総じて、無垢な子どもに顔がほころぶところなど、普遍的な人間愛を映し出していると思う。

やっぱり、その地に住まねば分からぬ事情が多い。それでも、映画を通じて、民族間の経済的格差、少数民族への差別、権力闘争による政治の乱れなどを垣間見ることはできる。重みのある映画には違いはない。

ただ、お年寄り同士の馴れ初めは、映画の中では浮いてしまった。

少女ヘジャル
少女ヘジャル
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